中学生のテスト結果に叱り方・励まし方
中学生は年間に数回のテストがありますね。
テストが返ってくると、お子さんだけでなく、保護者の方も一喜一憂すると思います。
成績が下がってしまったら、どうしたらいいでしょうか?
成績が下がったことを怒っても成績は上がらない
学校のテストが終わると、塾では結果を集計して生徒一人ずつに声をかけます。
そうして20年間子どもと接してわかったことなのですが、成績のことで子どもを叱り責めても良い変化は起きません。
もちろん、生徒の成績を上げ、高校に合格させてお金をいただいているわけですから、生徒が宿題をしてこない時など、努力を怠っているときは叱ります。
しかし、昔のように叱られて「なにくそ根性」で頑張る中学生はいません。
ガツンと叱ると心が折れて、それっきり退塾してしまうこともあります。
- こんな簡単なのもわからないの?
- お前バカじゃない・・・?
- これじゃ、合格できないよ?
- 志望校を下げたら?
こういった言葉は厳禁です。
成績や偏差値が下がってしまったら、叱りたくなる気持ちはわかります。
思わず感情的になって怒ってしまうのも当然でしょう。
しかし、その言葉はお子さんの心に刺さってしまい、長く記憶されます。
一度こわれてしまった信頼関係は、修復に時間と労力がかかります。
次のテスト結果は、あなたに言わなくなるかもしれません。
激励は必要ですが、子どもを責めて追い詰めるような言動はさけてください。
10秒待って怒りをおさえる
もちろん私も、生徒に対して腹が立つときがあります。
遅刻が多い、宿題をやってこない、するべき努力をしない・・・・
カチンときたときは怒鳴りたくなります。
そんなときは10秒だけガマンするようにします。
10秒だけ自分の感情を抑えることだけに集中します。
10秒で気持ちが落ち着いて来たら、ゆっくり言葉を選ぶようにして「今後はどうすればよいか」生徒といっしょに考えるようにします。
あなたもお子さんの成績が下がって感情が高ぶったときは、10秒だけがまんしてみてください。
いくら叱ったところで、テストの結果は変わりません。
叱るよりも、どうすれば良くなるかをお子さんと一緒に考えてあげましょう。
なぜ成績が下がってしまったのかわからないときはテスト勉強のやり方を見直してみましょう。
お子さん自身もどうしていいかわからないのかもしれません。
どんな子でも成績は下がる
塾では、3年生の実力テストや模試の偏差値の推移を見ていきます。
ずっと伸び悩み、12月にようやく芽が出る子。
上がったと思ったら長く停滞する子。
下がるのが続いてからゆるやかに上昇する子。
男女差や性格の違いなどもあり、様々な成績推移が見られます。
共通するのは、成績を上げ続けることは難しいということです。
保護者の方も「成績は下がることがあるもの」と理解してください。
上がり下がりを繰り返しながら、全体として上がっていけばいいのです。
成績が下がったら、反省をして明日の勉強にいかすことが大切です。
模試の成績が下がって志望校を変えるか迷ったときは、学校や塾の先生にも相談しましょう。
成績が下がったときの声掛け
それでは、成績が下がったとき、お子さんにどんな声掛けをすればいいでしょうか?
成績が下がって一番落ち込んでいるのは、お子さん自身です。
フォローと言うよりも、あなた自身の経験をお子さんに話してあげて下さい。
お子さんが落ち込んでいるときは、あなたの失敗談がいいでしょう。
親が失敗談を面白く話すことができれば、お子さんの気持ちが軽くなります。
さらに、ご自身の勉強体験も話してあげてください。
- 勉強でつらかった思い出。
- うまくいかなかったこと。
- 点数が取れた嬉しさ。
- 高校に合格した喜び。
成績が上がった喜びは、それを味わった人間にしかわかりません。
「頑張ったらいいことがあったよ」「あの経験が今にいきているよ」という話をしてあげたいです。
ポジティブ・フィードバック
フィードバックとは「意見・評価」のことです。
つまり、ポジティブ・フィードバックとは「前向きな意見や励まし」の意味です。
励まし方がわからないという方は、このポジティブ・フィードバックをおススメします。
「すごいね!」と褒めるいうよりは「あなたを見ている」「認めている」ということを言葉で伝えていく方法です。
私の塾でも授業の終わりに「学習記録」を書くのですが、生徒たちの授業の感想などに私がポジティブ・フィードバックしています。
- 「がんばっているね」
- 「一歩前進したね」
- 「もっと伸ばせるぞ」
など、シンプルに激励しています。
あるいはテストの結果が出たときは、点数が良くても悪くても、一人一人とミィーティングをしてポジティブ・フィードバックをします。
- 「数学が良くないね、次はどうしようか?」
- 「英語の作文がよく書けてるね」
- 「理科と社会は、もっと上げれるよ」
努力したことや勉強法について良かった点を認め、反省と対策を自分で考えさせます。
いくつかコツがありますので、紹介します。
1,サンドイッチで励ます
期末の結果がネガティブなものだったとしましょう。
結果が出るまでの過程を過去とすれば過去→現在→未来をポジティブ→ネガティブ→ポジティブとサンドイッチします。
例えばこんな感じです。
- 期末はいつもより頑張っている様子だったね。(ポジ)
- そのわりに英語が下がってしまったね。(ネガ)
- あなたなら工夫すれば良くなると思うよ。(ポジ)
努力した部分は認め(ポジ)、ネガティブな結果を受け止めつつ(ネガ)次へ向けてポジティブに伝えます。
2,期待を込める
上の例の「あなたならもっと良くなる」はお子さんに期待を込めた表現です。
逆に、会話の締めくくりを「受験は大丈夫なの?」とすると、子どもの中に「大丈夫だろうか?」と悪い想像が膨らみます。
仕事の大事なプレゼンの前に「大丈夫ですか?」と聞かれたら、かえって心配になるのと同じです。
それよりも「〇〇さんなら、きっとうまくいく」と言われたいですよね。
子どもの褒め方はこちらにもありますので、参考にしてください。
3,未来を考えさせる
過去の失敗や努力不足や悪い結果を振り返って反省することも大事です。
しかし、過去は変えられませんので、お子さんが今より良くなるには未来を変えることに意識を向けましょう。
テストが悪かったら、
- 「次のテストではどうしたらいいと思う?」
- 「改善できる点はどこかな?」
- 「私たち(親)にできることある?」
と、お子さん自身に思考させましょう。
「次も悪かったら、塾へ行きなさい!」
「次も悪かったら、塾を辞めさせます!」
このように脅しても意味がありません。
もし月謝の価値に疑問を感じるならば、「塾は続けるかどうか考えて、決めたら教えて」とどんな理由で、どうするつもりなのか報告をさせましょう。
お子さんがどうすればいいか迷っているなら、一緒に相談してあげましょう。
成績だ下がったことを受け止め、親子で協力して乗り越えてください。